1限目は元兵庫県副知事(元防災監)の斎藤 富雄氏の講演
”災害対応事例と教訓”
防災・危機管理の眼
トンビとニワトリ
トンビの眼(行政として、日本や世界の防災をも学び、広い視野での防災対策を考える)
ニワトリの眼(ますは、家族を守る。地区防災計画や地域訓練等地域を知り、防災対策をする)
日本は47都道府県あり、1777の市町村があります。
☆我が国の災害(防災)体制のしくみ
・我が国においては、住民に近い行政を担っている市町村が第一義的な災害対策の責務を持っている。
災害が発生した場合、応急対策の実施は第一時的に市町村があたり、都道府県は市町村の対応能力を超える場合や、広域にわたり総合的な処理を必要とする場合に対応するのが基本となっている
国は、財政的支援や都道府県の対応能力が超える場合や被害が複数都道府県にわたる場合などの対応が中心となる。
・災害対応における市町村の役割は極めて重要であるが、現実には脆弱な体制しか備えていない市町村が多い。また、被災市町村が壊滅的な被害を受けた東日本大震災では、市町村中心の対応システムの課題が顕在化した。
日本の防災体制の利点と課題
☆利点
・初動時の迅速な対応が容易である
・住民と身近な行政主体が第一次的な対応を行うことで、より被災者の立場にたった対応が行いやすい
・平時業務の住民情報を災害対応に活用することができる
・平時から住民等との連携が取りやすい
☆課題
・第一線の行政組織(市町村)が壊滅的な被害を受けるような大災害では、初動対応に混乱が生じる場合が多い
・防災体制の標準化等が進まず、地域によって防災力に格差が生じている
・特に、情報システム等の地域間の調整・連携が取りにくい状況が生じている
格差解消のために
”どの地域に生活していても、同程度の安全・安心が等しく享受できる環境整備”
自治体防災体制整備の均一化を図る
(防災体制整備の基準作り)
(ハード面)
拠点施設、防災設備、防災機器等)
(ソフト面)
防災担当専門職員、防災担当職員数等
自治体間の連携・支援の充実を図る
(防災体制整備の標準作り)
(ハード面)
防災施設名称、規模、防災関係設備、機器の標準化、互換性のある情報システムの整備等
(ソフト面)
参集基準、配置計画の名称、災害対策本部業務分担組織名称の統一、報告様式の統一、標準デザインの統一等
現行の災害対策基本法の規定
・国の責務…自衛隊等
・都道府県の責務…警察等
・市町村の責務…消防等
消防団と自主防災組織
消防団
(意義・性格)
郷土愛護の精神に基づき、日常は各自の職に従事しながら、必要の都度、招集され、消防活動に従事する。
市町の公的消防機関。
ボランティア活動であるが、活動時は特別職の地方公務員
(設置主体)
市町村
(設置単位)
基本的に市町村
自主防災組織
(意義・性格)
”自分たちの地域は、自分たちで守ろう”という精神に基づき、防災に関する住民の責務を全うするための、住民の連携による防災組織。ボランティア活動。
(設置主体)
住民
(設置単位)
概ね自治会、町内会
両者の関係
”平常時”
消防団は自主防災組織を育成・指導する役割が期待されている
”大規模災害”
消防団がリーダーシップをとって、自主防災組織をはじめとした地域の様々な組織と共に統一した災害対応を行う必要がある。
○コミュニティ防災力の担い手として自主防災組織を育成
自主防災活動(平時の取組み)
・”日常の活動がいざというときに役立つ”
・防災をはじめとする地域の安心・安全な暮らしを守るための活動を展開
日常の活動
防災知識の広報・啓発(地域防災・家庭内の安全対策)
地域の災害危機の把握(防災マップ・ハザードマップ等)
防災訓練の実施(個別訓練、総合訓練の実施)
防災資機材・食糧品等の備蓄
自主防災活動(災害時の取組み)
・災害時は安否確認や救出活動、避難所運営等の活動に取組む
・復旧、復興の過程でも、行政や他団体と連携して活動に取組む
☆一般住民に対する防災教育
○防災講演会、防災市民大学
○ひょうご防災特別推進員の派遣
○住民向けの体験的防災研修
☆自主防災組織の課題
リーダーの育成(防災士等の専門知識を持った者の活用等)
高齢化による対応人材不足(若者、子育て世代、地元企業従業員等の参加促進等)
活動ノウハウの不足(各種訓練の実施、被災地お体験談等学習会等)
訓練実施による体制強化(避難所設置、被害想定に基づく避難等実践的な訓等)
防災・危機管理の心得
非常時対応設備・システムは平時から使用
・非常用として普段温存している設備・システムは、緊急時に機能しなかったり、使用方法がわからなかったり、役に立たない事が多い
・特殊なシステムは、使用方法を習熟した要員を複数配置しておくこと
・誰もが普段から使えるシステムを緊急事態時に活用するようにしておく
他の地域、他の機関の対応事案に学ぶ
・他の地域、他の機関の失敗をみて、自分のところではそのようなことが生じない等の過信をしないこと
・他地域、機関の事案を自分の地域、機関に置き換えて、事態への対応を疑似体験し、体制の不備等を確認する
地域や防災関係機関との連携を心がける
・顔の見える関係を築いておくことが、対応時のスムーズな連携に繋がる
・平時の連携により、関係機関相互の団体の理解を深めることとなること
最悪をイメージする
・計画、マニュアルは予定している殆どの職員が参集出来ることを前提としていることを留意しておくこと
・経験のない事態が生じた時には、ことの深刻さがイメージ出来ない場合が多い
・イメージの欠如は、状況判断に時間を要し、初動の対応に遅れを招くことになる
・最悪の事態を想定し、対応策をとっておく
(上司が不在、連絡不能、危機管理の責任者の代行者を複数決めておく)
過剰対応を無駄とは思わない
・備えていた事態が発生せず、対応が空振りになることもしばしばあるがそれを恐れてはならない
・空振りを責めたり、批判してはならない
(批判を気にして、避難勧告等の発令を逡巡し、初動対応が遅れることがる)
・「気がついていた」「あのとき対応しておけばよかった」と、後から悔やまないためにも、気がついた時に行動に移すこと
過去の経験だけで判断しない
・最近の気象状況は、過去の経験だけでは計れないと認識すること
・経験をした災害だけに拘り、他種の災害への備えを怠らないこと
計画、マニュアルを制作し、熟知しておくこと
・効果的、効率的に対応するためには、個々の判断で動かず組織的な対応が必要。そのため基本的な対応はあらかじめ決められた計画、マニュアルに沿って行われることが必要
・計画、マニュアルづくりもコンサル任せでは、構成員の頭には入らない。できるだけ自分たちで作成することを心がけること。それにより組織の中に確実に計画、マニュアルを熟知したものが育つことになる
・最小組織単位、個人単位のマニュアルを作成しておくこと
・災害時にはマニュアルに決められた担当者が必要な順番に出勤してこない。出勤してきた順に誰でもが初動対応できるマニュアルとしておくこと
災害時要支援者対策を充実しておく
・最近の災害では、障害者、高齢者などの被災の割合が高まっていることを認識し、平時から体制を整えておく
・災害時の犠牲者を減少させるために、災害弱者への支援体制を地域ぐるみで整えておく
本当の成果は無被害である
”
防災への努力は、何事もなく過ぎればその努力は目立たない”
・何もしなかったが結果としてうまくいったのと、事前の対応を十分に行った結果その結果が有ってうまくいったのとでは全く違うことを理解する。
・予めの対策。対応が効果を発揮していることは表面にはでない
・備えは災害を防ぐための投資である
安全神話を信じない
・安全神話は備えの敵
・防災に安全神話は存在しない
2、3限目
”実践的な地震防災訓練の進め方DIG”
防災情報&研修所 高梨 成子氏
地震災害の初動対応を疑似体験する
防災訓練の種類
<実働型訓練>
展示訓練
実技型訓練:器具の操作、実技の練度向上、街中訓練
<図上訓練・机上訓練>
イメージトレーニング
図上シュミレーション訓練
事前啓発・訓練の効果
ハザードマップを配るだけではなく、図上演習を実施することが次のステップへの原動力になる
☆ひとりイメージトレーニング
(状況予測型訓練)
実際に地震災害が発生した時、どのような状況が発生し、どのように対応すればいいか?
引き続き図上シュミレーション訓練をしました。


市役所の対策本部という感じで練習。
色々と入ってくる問い合わせや報告に同対応するか?
関係先との連携は?

結果としてイメージと情報把握が大切だと思いました。
防災リーダー講座も後2回
色々と学んで繰り返し覚えていきたいです。