2回目は関西大学の山崎栄一さんの”被災者の生活再建と支援制度”の講義と午後は”防災体験学習”がありました。
講義では法律専門家だったこともあり、災害法制度のあり方等についてお話くださいました。
講演内容は、我々がおかれている状況、災害法制の概観、罹災証明書の発行、災害救助法、被災者生活再建支援法、災害弔慰金等法、その他の論点でした。
東日本大震災の特徴は津波災害、原発事故、行政機構の機能不全、未曾有の超広域災害、全国規模の支援活動、被災した県・市町村では収まらない被災者移動(→県外避難者の存在)
県外避難者の特徴は?
被災地との距離がある(→もといた市町村(県)に申請しなければいけない場合はどうするのか?
(→最終的な生活再建をどのようにするのか?(事務処理特例法)
生計手段を持っていない 場合によっては何も持っていない
→避難中の生活保障は?
相談に応じる以上は被災者の生活領域に深く関わる必要がある。
☆災害法制の概観
防災対策法制度には多くの法律が関わっている。
災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法、警察法、消防法、自衛隊法、水防法、災害救助法、海岸法、河川法、地震防災対策特別措置法、インフラ関連法、地震財特法、公共土木施設国庫負担法、各種整備法、密集市街地整備法、激甚災害法、耐震改修促進法、建築基準法、都市計画法、各種公庫・保険・補償法、債務・小切手処理 破産・会社整理関連法、資金調達(金融。融資) 雇用維持 関連法 災害弔慰金等法、被災者生活再建支援法、社会福祉・医療関連法などなど。。
罹災証明の発行(生活再建の出発点)
なぜ罹災証明書が重要なのか?
・被災者支援制度の受給には被災していることを要件としている制度が大半。
・生活再建支援には、罹災証明書の受給から始まる。
・特に被災直後は、融資・保険・学費の減免に必要。
・自分が被災者でありことを社会的に認知されたという心理的安心感(憲法13条に個人の尊重という点でも重要)
・罹災証明書は(被災)市町村が発行する(災対基法90条の2)
・罹災証明書にあたっては被害認定が行われる
(住宅の被害認定(認定基準。調査・判定方法)
災害救助法
実施体制・適用基準
(実施体制)
災害救助法による救助は都道府県知事が行い(法定受託事務)、市町村長がこれを補助する。
なお、必要な場合は、救助の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととすることができる。
(適用基準)災害救助法による救助は災害により市町村の人口に応じた一定数以上の住家の減失がある場合等。
それぞれの市町村に地域防災計画がある。
災害救助法には一般基準と特別基準がある。
災害救助法の弾力運用について
災害救助法の概要
災害救助法が適用された地域には、同法による救助が行われます。
災害救助法による救助の種類として、以下が定められています。
[1]難所、応急仮設住宅の設置 [2]食品、飲料水の給与 [3]被服、寝具などの給与 [4]医療、助産 [5]被災者の救出 [6]住宅の応急修理 [7]学用品の給与 [8]埋葬 [9]死体の捜索および処理 [10]住居、その周辺の土石などの障害物の除去
☆災害救助法の抱えている問題点
・現金支給が出来るのにもかかわらず、実際には現物支給のみ(県外避難者 食料や生活必需品は現金支給すべき)
・資力要件が付加された支援メニューがある。
応急仮設住宅:「自らの資力では住宅を得ることができないもの」、 応急修理:「応急修理を行う資力がない者」
これから求めるべき特別基準とは。。
@それぞれの地域において特別基準が実現されているかを確認
(受入れ先の自治体が法に基づく支援をしているかも含め)
A避難所・仮設住宅における絵死活環境の改善
(高齢者・障害者・女性への配慮 安全 バリアフリー)
B県外避難者に対する現金支給の実現
(食事 生活必需品 学用品 など 現実的な生活保障)
C仮設住宅/応急修理に資力要件を求めない
D生業資金の給付を検討する
◎避難訓練では逃げる体験だけではなく避難生活の体験も必要。
☆被災者生活再建支援法の問題点
財源の問題:
都道府県が設立した基金に対して国が補助をする。
22年度末、約536億円+国が同額の補助=約1072億円
全壊4万6000世帯×300万円=1380億円で、現在の基金では支払不可能
発動要件: 同一災害であるのにかかわらず、適用されない場合がある。
支援対象・内容: 半壊世帯・一部損壊世帯に対する救済
地盤災害は?
住宅再建のみに支援を限定。
☆災害弔慰金等法の問題点
発動要件: 1人でも自然災害で死亡/障害なら支給すべきでは
障害見舞金の支援対象が限定
自然災害による障害が社会的に認識されていない
その他論点
被災者の自己決定やニーズに応じた相談業務・支援の展開
今後の特別立法(法改正)や各省庁の通知に注目 (現状はあくまで過渡期)
特別基準の設立ならびに、独自施策を自治体の求めていく
災害対策本部の改正と被災者支援
避難行動(・名簿作成・避難所等指定・避難指示 等)
避難活動(・避難所・住宅避難)
生活再建(被災者台帳)
被災者台帳の作成
被災者台帳とは、被害後の被災者支援を円滑に進めるために作成される台帳(被災者の被災状況・支援状況を把握することができる)
今後のアクションのあり方
・被災者の自己決定やニーズに応じた相談業務・支援を展開
・今後の特別立法(法改正)や各省庁の通知に注目
・特別基準の設立ならびに独自施策を自治体に求める
・各地の支援者同士による情報交換が重要
などなど。
難しいけど必要な生活再建に向けた法律や情報の勉強になりました。
午後は消防団で一度体験した煙避難体験や起震車に乗っての地震体験、屋内消火栓を使って放水する体験、備蓄倉庫の見学にいってきました。
煙避難体験は経験してたのでそんなに怖くなかったが初めての人がほとんどで真っ暗の中でどう行動するか?ということを経験出来ました。
備蓄倉庫は大きなグランドの中にあり、こんな場所に倉庫を作って保管してるだなぁと。。
色々な物資や備品があり、緊急時にいつでも使えるようになってるそうです。
自衛隊などが使い人命救助セットもあり、東日本大震災で使われている?(返却がまだとか・・)衛星無線や簡易トイレや水害の時に必要なブルーシートも。。
屋内消火栓体験では消火栓を使っての放水体験はこれもほとんどの人が初体験。ホースにかかる圧が持つ腕をしびれさせる。
起震車体験は2度目だかはやり怖い。もしも本当に体感したような地震がきたら動くにも動けない状態になるだろう・・家具の固定や高い場所には物を置かないなど日常から意識するべきこともありました。
内容の濃い講座だ思いました。
次回は11月7日。
復讐も兼ねてブログにすることにより自分が聞いた内容や疑問点がわかり検索したり、調べてみたり、意識したり出来ると思います。
2015年10月25日
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